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これまでの、友人関係を始めとする対人関係とジェンダーとの関連を扱った研究は、「ジェンダーについての自己概念(自分はこれだけ男らしい・女らしい)」としての性同一性や性役割同一性を一貫した不変の者であると考え、それを中心に進められてきた。これに対して、本研究では性役割同一性は状況依存的なものであると考え、「他者と共にいる時の自己(self-with-other)」という指標を導入し、「他者と共にいる時の自己」としての性役割同一性を『性役割意識』と定義し、これにより青年期の異性友人関係について研究を行った。
調査1では、異性友人関係における行動をとらえる尺度を開発するために文章完成法により項目の収集を行い、先行研究を参考に整理・分類した。その結果、7因子に分かれると想定される37項目が抽出され、この項目を調査2において使用する事とした。
調査2では、「普通の自己」「異性友人と共にいる時の自己」「同性友人と共にいる時の自己」「相手の印象」についての性役割意識と調査1で収集した行動を行う頻度のそれぞれについて質問を行った。そして、これらに対して様々な分析を行い(1)異性友人関係における行動の特徴、(2)「異性友人と共にいる時の自己」における性役割意識の特徴(3)「異性友人と共にいる時の自己」の性役割意識と行動との関連、これらを調べる事を目的とした。
分析の結果、行動に関しては、行動の頻度と因子分析から、異性友人関係においては「異性の情報を得る」といった異性友人関係ならではの行動が重要な意味を持つものの、実際は同性友人関係とも共通の「ただの友人として」の行動が多くなされている、という事が示唆された。次に「異性友人と共にいる時の自己」の特徴として、「同性友人と共にいる時の自己」とは異なるものの「普通の自己」との違いは見られない事、そこでの性役割意識の獲得には相手の性役割に対する認知よりも、相手を「異性友人である」と認知する事が関わっている可能性が示された事、などが示唆された。また、異性友人関係における行動と「異性友人と共にいる時の自己」の性役割意識との間には顕著な関連は見られなかった。
以上の結果から、異性友人関係は、意識としても行動としても「理想の異性像」を振る舞う必要もなく、ジェンダーという枠組みにはめられずに「普通の自分」と変わらずに振る舞える、つまりはジェンダーフリーな付き合いでると言える、そのような異性関係であると考えられた。また、本研究と先行研究の結果を併せて考えると、青年が「異性友人」を「同性友人」とも「恋人」とも異なるものとして概念化している、という可能性も示された。
また、今回の研究の反省から今後の研究に対する多くの示唆が示されたので、それを参考により異性友人関係やself-with-otherについての研究がなされる事を望みたい。
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